農業を核とした企業・産業・研究活動全体を総括する「アグリビジネス」の視点は、オーストラリア経済において極めて重要です。わが国は50年以上、農業生産高の年平均成長率2パーセントを維持してきました。「アグリビジネス」の観点から、エビデンスに基づくイノベーション(技術革新)に産業全体で取り組んできた結果といえます。
オーストラリアでは革新的な農法に加え、家畜・植物・土壌の管理や害虫対策などにおいても新たな科学技術が積極的に活用されており、これらの手法を組み合わせることで農業生産性の向上を図ってきました。オーストラリアの食品輸出額の5割以上がアジア向けとなっています。
イノベーションへの取り組みは、生産現場に飛躍的な進歩をもたらしてきました。 日本の食卓に登場することも多い牛乳の生産について見てみると、オーストラリアの乳牛1頭あたりの年間乳量は、1967年から現在までの間で約2倍以上に増加。2,298リットルから5,816リットルへと大幅な伸びを見せています。
わが国では政府が率先して研究・開発に力を入れており、オーストラリアの国立科学研究所であるCSIROや各種研究センターにおいては、アグリビジネスと直接関係する研究が活発におこなわれています。アグリフード技術やバイオセキュリティー、バイオテクノロジーの活用など、常に最先端の研究・技術を導入する環境が整っているのです。
近年ではハイテク機械の導入や情報技術の活用がさらに進み、オーストラリアの生産者は「よりスマートに」農業に従事できるようになっています。