世界で6番目に国土面積の大きなオーストラリアで作られる穀物といえば、小麦、大麦、燕麦(オーツ)が有名ですが、菜種や豆類も数多く育てられています。穀物はわが国の農産物の総輸出高の24パーセントを占めています。
小麦・大麦・砂糖などは世界的にも主要な供給国として知られ、日本は極めて重要な貿易相手国です。オーストラリアの検疫検査は世界最高水準で、大陸でありながら島国であることから、検疫体制は日本と同様に厳しく保たれています。
オーストラリアは主食カテゴリーの多くで世界5大輸出国にランクインしており、50以上の国際市場に商品を供給しています。2021-22年度は農業生産高が前年対比18%増の大豊作であったため、輸出額も拡大しましたが、中期的には縮小に転じる予想がでています。 規制緩和されたオーストラリアの農産物は、今後も政策に沿った拡大路線を歩んでいきます。
広大な国土を持つオーストラリアは、土壌の種類や生育気候も多様であるため、毎年2回の収穫期に様々な種類の穀類・豆類・油糧種子を生産することができます。
冬の主な作物は、小麦、大麦、オーツ麦、ソラマメ、レンズマメ、キャノーラ、ルーピンです。夏の作物は、ソルガム、ソラマメ、エンドウマメ、トウモロコシ、メイズ、ヒマワリ、コットン、ヒヨコマメなどです。
成長を続けるアジア市場への近さという強みに加え、徹底した品質管理と情報提供システムは、穀物大国であるわが国が誇る制度です。オーストラリアの官民一体となったイノベーションへの取り組みにより、世界からのニーズに柔軟に対応しています。
オーストラリアの地理的位置や主要市場への近さが、多くの海外バイヤーにとってコスト面での重要なメリットになっています。
オーストラリア産小麦輸出の規制緩和、サプライチェーン全体にわたる投資の拡大、輸出市場での需要の伸びを受けて、わが国では穀類・豆類・油糧種子を扱う輸出企業が増えています。世界のお客様が取引できるオーストラリア企業はますます多様化し、製品の差別化や輸送方法など(ばら積みとするか、コンテナ輸送とするか)の点で、より柔軟な対応が可能となっています 。生産者、輸出業者、お客様の三者がより密接に連携できるようになったことを示しています。
海外のお客様にとって、オーストラリアの輸出業者、業界団体、政府が提供する作物生産情報や技術支援サービスは非常に有益です。支援サービスの対象国は20カ国を越えており、新規および既存のバイヤー向けにオーストラリア産農産物の情報を提供しています。
業界は数多くの出版物の発行も手掛けており、オーストラリア輸出穀物イノベーションセンター(AEGIC)では、海外のお客様向けに主要オーストラリア産小麦の等級ごとの粉の特性や小麦、オーツ麦、小麦粉についての情報を毎作期発信すると共に、麦芽用大麦などの他の穀物品種に関しても情報提供を行っています。
植物育種は世界の食糧安全保障にとって大切なツールであり、より高い収量、病虫害への耐性、干ばつへの耐性、さまざまな地域や環境、・栽培条件への適応性を持つ新しい作物新品種を開発できる可能性を提供します。オーストラリアは、あらゆる気候帯の生産者向けに、多くの新品種を開発しています。
世界の食糧需要が伸びていること、そして食料安全保障が優先課題となっていることを受け、世界中の農業生産者は、より効率的な生産技術の導入、土壌の改善、水使用量の削減、生産性向上など、農産物の品質・付加価値最大化を目指しています。
オーストラリアは、植付け、散布、収穫の効率性向上に役立つ精密農業技術など、農場生産技術の開発・早期導入を他国に先駆けて行ってきました。センシング技術(衛星、ドローン、地上設置型、地中埋め込み型)は作物の生育状況をモニターしたり、作物の投入時期を見極めたりする目的で、今では日常的に利用されています。
食品の安全・トレーサビリティ・品質認定・バイオセキュリティー
オーストラリアでは政府と業界の枠組みに支えられた厳しい規制を導入しており、わが国の枠組みは世界中の多くの国の模範となっています。
CSIRO、穀物研究開発公社(GRDC)、産業界などの各団体・組織は、オーストラリアの温暖多湿の気候条件や「牧場から港」までの距離が長いことを踏まえ、貯蔵、取扱い、流通、検査に必要な技術のイノベーションに取り組んでいます。