野菜・果物

オーストラリアの園芸作物は、主に果物、野菜、ナッツ、花、芝と苗から成ります。

生産者の多くは家族経営者ですが、中には大規模生産者もいます。オーストラリアは、サプライチェーン全てに厳しい規準を設けていますので、世界各国から品質の良さについて高い評価を得ています。広大な国土と多様な気候に恵まれたオーストラリアでは、多品目の園芸作物が栽培されています。南半球に位置するオーストラリアからは、日本の端境期に栽培された青果物を日本へ供給できる利点があります。

主な栽培地域はヴィクトリア(VIC)州のGoulburn Valley、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州のMurrumbidgee 灌漑地域、両州境のSunraysia, 南オーストラリア(SA)州のRiverland,タスマニア(TAS)州北部、そして西オーストラリア(WA)州南西部です。これらの地域は日射量と水源が豊富で肥沃な土壌を有しています。気候の違いなどから栽培される作物は各州で異なり、例えば亜熱帯のQLD州ではマンゴー、パイナップル、バナナやマカダミアナッツなど、また、冷涼なTAS州ではりんご、チェリー、そばの実やわさびなどが有名です。  

園芸作物の2019-2020年度の総生産額は150.6億豪ドル(652.8万トン)で、内訳はフルーツ&ナッツ:70.7億豪ドル(280.4万トン)、野菜:48.5億豪ドル(372.3万トン)、花・芝・苗:31.3億豪ドル(数量不明)で、金額ベースでは食肉と穀物に次いで3番目となります。

生産額の上位を占める作物は、金額ベースの高い順に柑橘類(9.42億豪ドル,76.7万トン)、ぶどう(7.50億豪ドル、21.4万トン)、じゃがいも(7.16億豪ドル、138.8万トン)、バナナ(5.96億豪ドル、38.1万トン)、トマト(5.84億豪ドル、46万トン)、りんご(5.78億豪ドル、30.1万トン)、いちご(4.35億豪ドル、8.2万トン)、マッシュルーム(3.67億豪ドル、6.8万トン)、たまねぎ(2.43億豪ドル、26.5万トン)、にんじん(2.22億豪ドル、33万トン)、レタス(2.06億豪ドル、13.5万トン)、メロン(2.06億豪ドル、19万トン)です。 その中で日本向けに輸出が許可されている作物は、柑橘類、ぶどう、バナナ、メロン、りんご(タスマニア州のみ許可)、いちご(タスマニア州のみ許可)、マッシュルーム、たまねぎ、にんじん、とレタスです。 

2019-2020年度のオーストラリアの園芸作物の輸出総額は27億豪ドルで、前年対比2%増でした。日本は過去20年近くにわたってオーストラリアの主要輸出相手国です。同年日本に輸出された主な農作物は、柑橘類1億854万豪ドル(5.1万トン)、食用ぶどう5,253万豪ドル(1.2万トン)、ナッツ類4,824万豪ドル(1,988トン)、メロン959.9万豪ドル(3787トン)、チェリー(タスマニア州のみ許可)77.5万豪ドル(46トン)です。その他、アスパラガス、たまねぎ、にんじん、ブロッコリー、黒トリュフ、アボカド(西オーストラリア州のみ許可)、マンゴー、ドライレーズンなども輸出されています。

アスパラガス(HS070920):

全生産量の40%は輸出向けで、日本、香港、韓国、台湾が主要輸出相手国です。
出荷時期は9月から11月頃まで、輸出量全体の85%以上が日本向けに輸出されており、そのほとんどはVIC州から供給されています。2019年の対日輸出量は2,220トンでしたが、2020年は1,225トンに減少しました。輸出向けのアスパラガスはUC157F1品種が大半を占めますが、近年では少量ベースでのホワイトアスパラガスの輸出もはじまりました。

にんじん(HS070610):

主産地は、SA州、TAS州、WA州、VIC州です。日本向けにはTAS州とWA州産が主要です。2019-2020年度の全生産量は33万トンでした。
生鮮にんじんの対日輸出量は2019年は2,745トンでしたが2020年は減少し、1,673トンでした。
また、加工用製品(例:濃縮還元ジュースやピューレ)も日本向けに出荷されています。

たまねぎ(HS070310):

主産地はTAS州、SA州とWA州で、2020年の全生産量26.5万トンの内、対日輸出量は約3.5万トンでした。
輸出されるたまねぎの大半はTAS州産で、主な供給先はEU、次いで日本とアジア諸国です。
対日輸出量は2019年は2,648トンでしたが、2020年は 減少し、1,007トン  でした。

柑橘類(HS0805):

主産地は、SA州、VIC州、NSW州、QLD州、WA州の5州で、主にネーブル、バレンシア、マンダリン、マ-コット、レモン、グレープフルーツが生鮮果実として日本に輸出されています。2020年は約5万1471トンが日本へ出荷されました。マンダリンの日本向け供給量は近年増加傾向にあります。

マカダミアナッツ(HS080262):

QLD州とNSW州が主な産地で、輸出向けの主な形状はカーネルと殻つきです。
カーネルは主にナッツ商材ならびに菓子原料として使用されています。2020年は1,606トンが日本に輸出されました。

マンゴー(HS080450):

QLD州が主な産地で、生鮮マンゴーは蒸熱処理済み(Vapor Heat Treatment:VHT)のものに限り、日本に輸出できます。ケンジントンプライド種とケイト種が主に日本に供給されています。

2019年は19.3万豪ドル(14トン)の生鮮マンゴーが日本に輸出され、2020年には26.4万豪ドル(16トン)まで増加しました。
生鮮以外にも、ドライマンゴ―入りクリームチーズ、アイス、ジュースなどの加工製品も日本向けに供給されています。

チェリー(HS080929):

オーストラリア本土ならびにタスマニアで栽培されていますが、日本向け輸出は検疫上の理由からTAS州産のみが許可されています。日本原産種とダークチェリーは毎年12月中旬から2月初旬にかけて日本に輸出されますが、各種の出荷可能期間は約一ヶ月程度と限られています。
2019年は19トン(27万豪ドル)から増加し、2020年は46トン(77.5万豪ドル)が日本に輸出されました。

食用ぶどう(HS080610):

出荷時期:2月後半~5月下旬。トンプソンシードレス(種なし緑色)、クリムゾンシードレス(種なし赤色)、レッドグローブ(種あり赤色)の3品種で主要産地はヴィクトリア州です。鮮度と品質が高く甘くておいしいと高評価を受けています。対日輸出量は2019年は13,513トン(5777万豪ドル)でしたが、2020年は 減少し、11,573トン  (4885万豪ドル)になりました。
日豪経済連携協定の季節関税が適応される3月1日~10月末は4.6%から段階的に削減、2024年4月1日より無税、11月1日~2月は2019年4月1日より無税。
しかし包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)締結により2018年12月30日より無税になりました。