2018年以降、20億豪ドル(約1890億円)の予算を民間宇宙能力の開発に計上しました。そのうち、12億豪ドル(約1130億円)のオーストラリア宇宙庁(ASA)が主導する「地球観測のための国家宇宙ミッション(NSMEO)」、4億5000万豪ドル(約420億円)の最先端衛星インフラ開発、そして宇宙産業を優先投資領域の一つとして定義した15億豪ドル(約1418億円)の「近代製造業戦略(MMS)」も含まれます。
民間利用目的の宇宙産業投資に加えて、オーストラリア政府は100億豪ドル(約9450億円)の拠出を防衛宇宙産業の能力開発に向けてコミットしました。これらの投資は、オーストラリア企業の既存機能の維持や高度化だけでなく、国内の課題を解決する機能の新規開発や、グローバルパートナーへのサービス提供の展開を支援しています。これら政府の取り組みは、オーストラリアにおける民間宇宙部門への投資パイプラインの拡大を後押ししており、現状投資額は20億豪ドル(約1890億円)に達しています(オーストラリア貿易投資促進庁により推計)。上記の投資額には、民間産業および国際宇宙機関からの7億7400万豪ドル(約730億円)のインバウンド投資も含まれます。
オーストラリア宇宙庁は設立後、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との協力覚書(MOC)を締結し、また、豪州地球科学機構(Geoscience Australia)は内閣府との間で衛星測位協力に関する協力覚書(MOC)を締結しました。日豪パートナーシップが一層強固となる礎ができています。
また、パートナーシップをさらに強化するため、オーストラリア政府は、「近代製造イニシアチブ(MMI)」等の助成金を提供しグローバルサプライチェーンへの豪州企業の参加を促しています。海外企業との共同投資を支援するプログラムもあります。オーストラリアの宇宙関連企業は481社(2019年)に増加し、主要都市には宇宙産業クラスターがあり、試験・認証インフラも有しています。2021年にはオーストラリアの宇宙クラスターと日本企業がパートナーシップを組み、オーストラリア製衛星の打ち上げを実現しました。
注目の協業分野は、①打ち上げ・射場、②地球観測、③宇宙状況把握・通信、④ロボティクス及びリモートアクセス技術、⑤ポジショニング・ナビゲーション・タイミング(PNT)です。
オーストラリアには、日本がより頻繁に射場として活用できる有利な地形と管制空域があります。また、森林火災などの危険な天候パターンを予測するデータ解析において協業の可能性があります。さらには、マイニング(鉱山)産業で培った遠隔オペレーション能力は、宇宙産業においても日豪は理想的なパートナーとなるでしょう。すでに日本の準天頂衛星システムを基に、日豪の研究者が衛星データを活用しスマート農業・スマートシティ実証実験をオーストラリアで実施しています。豪州政府は静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)への投資も開始しています。
オーストラリア企業とのパートナーシップ、豪州への直接投資等をご検討の方で、オーストラリアの宇宙産業情報の詳細を必要とされる方は、オーストラリア貿易投資促進庁へご連絡ください。