具体的にはユーザーが求める品質、コストそして安定供給を技術的・商業的に可能にする資源セクターを構築するとともに、そのノウハウや鉱業機械・設備、サービスを提供できる企業のグローバル展開を加速します。
オーストラリア政府は特に有望な開発案件に対して政府機関であるExport Finance Australia (EFA)、 Northern Australia Infrastructure Facility (NAIF)、Clean Energy Finance Corporation (CEFC)などを通じて支援していくことにしており、2021年9月に重要希少鉱物(クリティカルミネラル)案件に対して向う10年で計20億豪ドルの支援を発表しています。
これら重要希少鉱物開発案件の多くは小規模企業によって進められていることが多く、政府と連携して海外の投資家に対して、専用デスクであるThe Critical Minerals Facilitation Office (CMFO) や貿易投資促進庁(オーストレード)、各州の投資庁と連携して情報提供し、諸外国政府との協議も行っています。
EVやバッテリー、風力タービンなどの低排出エネルギー技術に必須な重要希少鉱物を豪州は多く埋蔵・採掘されています。例えば、リチウム、グラファイト、コバルト、マンガン、バナジウム、ニオビウム、タングステン、チタニウム、ジルコニウム、タンタラムなどは世界でも有数の埋蔵量を誇り、中でもリチウムは世界一、コバルト、マンガン、ジルコニウム、チタニウムは五指に入る生産量があります。そしてこれらと共に他の重要金属資源であるニッケル、銅、ボーキサイト(アルミニウム)なども多く開発・採掘されています。
出展:Future Battery Industries Cooperative Research Centre, Geoscience Australia, United States Geological Surveyをもとに作成
ここ数年世界のハイテク産業や市場が求める環境性、持続性、ガバナンスある鉱物供給を目指し、政府の支援の下採掘現場や物流の低炭素化を進めています。
また、オーストラリアの金属資源産業は有用鉱物の鉱石生産から中間・加工物製造への一貫体制への移行を進めています。現段階で国内に確立された中間・加工物製造プロジェクトはそれほど多くない中、一部の企業が処理プロジェクトの実現可能調査行い、オフテイク契約とプロジェクトファイナンスを誘致する段階にあります。今後、予想される障壁を克服し、よりサプライチェーンの下流事業振興に必要な公的資金の導入や海外市場のニーズとの連携が必要とされています。
豪州のMETS産業は年間売上1000億ドル、20万人の雇用を生む一大産業です。これまで資源関連事業で蓄積された技術とビジネスモデルは今や防衛や宇宙事業などの産業に大きく貢献し、国の研究開発能力を下支えする力になっています。今後ハイテク産業に使用される重要希少鉱物関連案件やその加工案件の開拓にも重要な役割を担っています。