循環型社会(サーキュラーエコノミー)

サーキュラーエコノミーへの転換は、持続可能な社会を築くためのオーストラリアの国家的優先課題の一つです。

今まで、オーストラリアは廃棄物を埋め立てや近隣諸国への輸出に依存していました。

しかし現在、サステイナビリティを意識した社会全体の行動の変化が急速に進んでいます。現在では、国全体の廃棄物処理市場の再構築によっての環境問題の解決並びに、国益につながる経済効果を期待し、「一世代に一度の変革」が実行されています。

National Waste Report 2020によればオーストラリアの廃棄物市場規模は160億ドル(2019年数値)と推定されており、過去10年間で平均6%の割合で市場拡大しています。サーキュラーエコノミーへの転換により、今後新たな市場が創出されるにつれ、業界全体がさらに成長することが期待されています。政府系機関であるクリーンエネルギー金融公社 (CEFC)によれば、2025年までに最大78億ドルの新規投資を生み出すビジネスチャンスがあると予測されています。

2019年には、資源回収の国家的統一方針として国内初の「国家廃棄物政策」が策定され、廃棄物管理、リサイクル、および資源回収に関する国が取るべき行動の枠組み、及び循環経済の達成に向けた包括的原則が決定されました。「国家廃棄物政策」を通じて、政府と業界は、特に廃棄物の収集、運搬、選別、処理システムの向上に向けたインフラ投資を共同で推進していきます。

今後の課題としては:

  • 2030年までにすべての廃棄物の平均有効活用率を80%(リサイクル・エネルギー回収)まで上げる
  • 2025年までに不要な種類のプラスチックを段階的に廃止する
  • 2030年までに埋め立てへ排出される有機性廃棄物の量を半減する

研究開発分野では、循環経済分野の発展に貢献するためオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)などがプラスチックリサイクル、バッテリーリサイクルや二酸化炭素回収・有効活用技術(CCUS)の独自の技術開発を継続しています。

2021年には、政府はバイオエネルギーに関するロードマップを発表し、同エネルギーの発展が脱炭素並びに、循環型経済へ貢献しながら2030年代までに100億豪ドルの経済効果をもたらすとの見通しを掲載しました。

今後、バイオエネルギーは豪州で脱炭素化が達成しづらい分野である産業用熱、持続可能な航空燃料(SAF)、再生可能天然ガス(バイオメタン等)での活用が期待されています。

オーストラリアは引き続き、脱炭素化に向け、サーキュラーエコノミー分野では日本などの国外のパートナーとの連携を通してさらに持続可能な社会を実現するためイノベーションや共同プロジェクトを推進していきます。

Worker inspecting recycled plastic in plastics factory