ワイン

オーストラリアワインはいまやニューワールドの枠を超え、ワイン生産者が追求するスタイルは果実味主体のものだけでなく、その土地のテロワールを十分に生かした複雑でエレガントなものへも広がり進化しています。

オーストラリア国内では、ヨーロッパやアジアからの移民の影響を受け、他国の人が羨むようなレストラン文化が栄え、国際的に知られたワインが多種多様な食文化の中で楽しまれています。

生産量、輸出

オーストラリアはイタリア、フランス、スペイン、アメリカに続いて、世界第5位のワイン生産国です。

オーストラリア国内の2021年のブドウ破砕量は203万トンで前年比31%増(2020年, 154万トン)と見込まれ、ワインの醸造量は15 億リットル弱、前年比36%増(2020年、11億リットル)でした(参照1)。オーストラリアは世界のワイン総生産量(256億リットル**) の6%を醸造しており、そのうち7.2億リットル***、瓶換算で9.7億本、およそ28億ドル相当のワインを110か国以上へ輸出しています。

参照1 Vintage Survey (wineaustralia.com), MI_VintageReport2021_full-(1)_1.pdf (wineaustralia.com), PowerPoint Presentation (wineaustralia.com)
** Alcoholic Drinks: Euromonitor from trade sources/national statistics
*** Export Report (wineaustralia.com)

主な輸出先は、イギリス(2.43億リットル)、アメリカ(1.25億リットル)、カナダ(0.47億リットル), ドイツ(0.34億リットル)、ニュージーランド(0.31億リットル)*で日本へは (0.13億リットル**)でした。2022年は新型コロナ感染症の影響を受け、前年比22%減でした。政府の厳しい基準を合格したワインだけが輸出を許可され、国を挙げてオーストラリアワインの安定した品質を保とうとしています。オーストラリアには世界的に有名なワインの研究教育機関があり、入念な研究に基づくブドウ栽培技術の向上によって上質なブドウが造られています。

* Export-Report_MAT-December-2021.pdf (wineaustralia.com)
** 財務省貿易統計 貿易統計 :品別国別表 :検索結果 :財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan (customs.go.jp), Export Report (wineaustralia.com)

造り手の真摯な努力と熱意、官民一体となった研究と品質へのこだわりにより、高級ワインからテーブルワインまでの幅広い価格帯で、品質と価格のバランスに優れたワインが造られ世界中に輸出されています。高品質なオーストラリアワインは、世界の最高級品と肩を並べ、数々の権威ある国際賞を獲得しています。現在オーストラリアワインは全世界100カ国以上の高級レストランやホテルで提供されるだけでなく、ワインショップ、スーパーマーケット、コンビニエンスストアやオンラインでも販売されています。

2020年の日本向けオーストラリアワインの輸出量は約0.13億リットル弱)、ボトル換算では1790万本で、前年度比6%減です。2020年は新型コロナ感染症の影響を受けコンビニエンスストアやスーパーマーケットで販売されている小売価格1000円から1500円程度のワインの流通量が前年比5.7%**増加しました。

* 財務省貿易統計 貿易統計 :品別国別表 :検索結果 :財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan (customs.go.jp)
** WANDS No.424 P23 日本のオーストラリアワイン市場2020

オーストラリア特有の広大な国土・多様性

オーストラリアはヨーロッパ全土を覆うほどの広大な国土を有し、さまざまな地質の5億年の歴史を持つ古土壌に恵まれ、品種に適した環境で様々な種類のブドウを育てることができます。世界的にはテラロッサ土壌が有名です。南方の海岸線付近が主なブドウ産地ですが、一部の州を除いてほぼ全ての地域でワインが生産されています。ワインの産地は65に渡り、現在2500弱の生産者と6000を超えるブドウ生産者が産地の特性をいかして100種類以上のブドウを栽培し、個性豊かなワインを造っています。203万トンの破砕量の内、赤ワインは53%、白ワインは40%、スパークリングワイン6%、酒精強化ワイン1%で、ブドウ畑の総面積は 14.6万 ヘクタール以上あり、その醸造量は下記のとおりです。

(参照:Market insights – wine sector at a glance | Wine Australia, National Vineyard Scan | Wine Australia

醸造量 (州別)
南オーストラリア州52%
ニューサウスウェールズ州29%
ビクトリア州17 %
西オーストラリア州2%
タスマニア州1%
クイーンズランド州0.02%
破砕量(全品種)
Shiraz26%
Chardonnay23%
Cabernet Sauvignon14%
Merlot7%
Sauvignon Blanc6%
破砕量(赤ワイン品種)
Shiraz53%
Cabernet Sauvignon28%
Merlot15%
Pinot Noir2%
破砕量(白ワイン品種)
Chardonnay60%
Pinot Gri15%
Sauvignon Blanc11%
Semillon3%
Riesling2%

MI_VintageReport2021_full-(1)_1.pdf (wineaustralia.com)

200年以上の歴史

1788年にアーサー・フィリップ船長がブラジルと喜望峰で入手したブドウの木をシドニー・コーブからオーストラリアに持ち込んだとき初めてオーストラリアにブドウの木が輸入されました。その後、オーストラリア初の商業ブドウ畑とワイナリーが1800年代初頭にニューサウスウェールズ州に設立されました。200年余りの間に、世界中に8億リットル以上のワインを輸出するまでに発展しました。 オーストラリアは隔離された立地条件のため、フィロキセラが2002年まで発生せず、南オーストラリア州バロッサバレーには世界最古の樹齢150年を超えるのシラーズやグルナッシュの木があり、現在もその木からブドウが収穫されワインが造られています。

革新

オーストラリアには世界的に名高い研究教育機関が揃っており、次世代のワインメーカーやブドウ栽培者は、強固な技術力をベースに、国際市場でクリエイティブな才能を最大限に発揮することができます。また自由な精神と消費者重視のワイン醸造方針によってオーストラリアは独自のヴァラエタル・ブレンドを導入しました。スクリューキャップの導入も世界を先駆けて進みほとんどのワインがスクリューキャップを使用しています。新しい品種や、革新的なスタイル、ワインメーカーの人柄までが自由に表現されています。