オーストラリアの洗練された金融サービスセクターは、アジア太平洋地域における理想的な拠点となり得ます。大規模で流動性の高い金融市場に加え、投資管理や、インフラ・ファイナンス、ストラクチャード商品等の分野でも当地域で主導的な地位にあります。スーパーアニュエーション(退職年金制度)、高度なスキルと多言語能力を備えた労働力、整備されたビジネスインフラといった要素もオーストラリアの金融サービスセクターの強さを支えています。

金融サービスは2020-21年におけるオーストラリア全体の実質総付加価値1兆8,454億豪ドルの9.3%、つまり1,720億豪ドルの規模を有します。オーストラリアの金融セクターの成長率は、他の殆どの産業を凌いでいます。金融サービス産業はオーストラリア経済の牽引車であり、その規模は鉱業(10.6%)に次ぐ第2の産業分野となっております。

オーストラリアの強靭な金融サービスの原動力は投資ファンド部門の成長にあるといえましょう。オーストラリアは、約2.5兆米ドルの資産をグローバルに運用しており、これは世界第7位の規模です(アジア・オセアニア域内では2位)。 また、株式市場も規模の広がりを見せており、時価総額1.5兆米ドルであり、これは世界第9位の規模です(アジア・オセアニア域内では3位)。

英国のシンクタンクZ/Yen発表するグローバル金融センター指数では、シドニーが25位、メルボルンが29位にランクインされています(2021年9月)。この指数は、「ビジネス環境」、「人的資源」、「インフラ」、「国際金融市場としての成熟度」、「都市イメージ」の5項目を評価・ランク付けし、金融センターとしての国際競争力を比較するものです。