オーストラリアにはグローバルベンチマークとなり得る、効率的な国民皆保険制度 Medicareがあり、民間健康保険とともに国民に効率的なヘルスケアサービスを提供している。
eヘルス、病院情報システム(HIS)、遠隔医療、健康情報学、など様々な分野を内包するデジタルヘルス。この産業の発展には、医療機器の向上はもとよりICT、AI、などの総合的アプローチが不可欠である。高齢化、医療コスト高騰などの世界的なヘルスケア分野の様々な課題解決に向け、オーストラリアはイノベーションの推進により取り組んでいる。
オーストラリアのヘルスケアの進化を下支えるのは、国が誇る質の高い医療分野研究の基盤である。世界の人々の生活の質向上に貢献しているオーストラリアで発明された医療機器の例には人工内耳(bionic ear)や持続的気道陽圧法(CPAP)などがあり、今後もこのような開発がより活発に行われるよう、政府は医療研究への補助にコミットしている。
2017年8月に承認されたオーストラリア国家デジタルヘルス戦略(2018-2022) の実施のため、デジタルヘルス局が設置された。本局が運営するMy Health Record は個々がコントロール可能な電子カルテシステムで、その実績は早期デジタルヘルスの導入例として多くの先進国から注目を集めている。
2018年2月に開催されたNew Global Digital Health Partnershipでは世界13以上の国と地域が参加し、デジタルヘルスでのグローバルスタンダードの取組についての話し合いが行われた。オーストラリアのデジタルヘルス局はこれを牽引する役割を果たし、初開催国としてホスト役を担った。
オーストラリアには500を超える医療機器開発企業が存在し、その市場規模は118億豪ドル(2012-13, 歯科、IVDを含む)、年約21豪ドルを輸出しており、2013-14年度には19,000 以上の雇用がこの産業から創出されている。(出展:MTAA) オーストラリアの療機器企業の半数以上はスタートアップ企業として成長しており、約3分の1がグローバル企業の支社などにより成り立つ。革新的なベンチャー企業が多数生まれる文化と環境がオーストラリアにはあると言えるだろう。
豪州政府
産業団体